日本火災学会会長 あいさつ

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(会長就任あいさつ)

会長就任にあたって

-時代の変化に対応した火災科学・技術の進展と日本火災学会の国際化-

第29代会長 土橋

 

このたび、日本火災学会第29代会長に就任いたしました。一言ご挨拶させていただきます。日本火災学会の目的は、定款に「火災に関する科学および技術の研究について、その促進および交流をはかる事業を行い、学術、技術の発展と社会の福祉に寄与することを目的とする。」とあります。その目的のため日本火災学会は、火災安全に関する科学・技術研究コミュニティーの核として機能していると考えられます。私も、日本火災学会が今後ともコミュニティーの核を担い火災科学・技術が進展するよう、微力ではございますが努力していきたいと考えています。

先々代の大谷会長、先代の長谷見会長のご努力により、日本火災学会の財務状況も安定してきております。これを引き継いで維持していくことがまず重要であると考えています。さらに、来年2020年は、日本火災学会誕生から70年目に当たるため、70周年記念会を開催予定です。70年にわたる学会の歴史と活動を振り返り、今後のさらなる発展に向けた契機としたいと考えています。

我々を取り巻く世の中の状況は常に変化しており、火災に関する科学や技術の研究も、その変化に対応してゆくことが求められています。このような変化について私が個人的に感じていることを少し書かせていただきます。火災は人類の歴史が始まる頃から存在する災害です。生活空間から可燃物を全て取り除ければ火災は無くなると予想されますが、生活空間にあるかなりのものは金属やコンクリート等にすることはできそうですが、衣服や調度品などについてはどうしても可燃物が必要となります。さらに、エネルギー源としての可燃性燃料も完全には無くすことはできないと考えられます。また、生活空間の不燃化は経済的にも合理的ではありません。したがって、将来的にも人類は火災リスクに対応しながら生きてゆく必要があり、火災の研究も時代に合わせて継続してゆく必要があります。

最近の変化として、環境対策によって火災・爆発リスクが高まったために発生している事故が気になっています。例えば、スプレー缶の噴射剤は、かつては不燃性のフロンが用いられていましたが、フロンがオゾン層破壊や地球温暖化の原因となることが問題となり、最近ではフロンに代わって可燃性のジメチルエーテル(DME)やLPガスが用いられることが通常となっています。そのため、スプレー缶の使用や廃棄において爆発・火災事故が発生しています。液化したDMEやLPガスがスプレー缶から噴射されるとすぐに可燃性の気体となるため、容易に着火する状態となることが原因であると考えられます。つまり、環境対策のために導入したDMEやLPガスが火災・爆発リスクを高めているわけであり、環境リスクを低減したために対抗リスクとして火災リスクが発生していると見ることができます。リスクの認識も高まり、技術も多様化する中で、このような複雑化したリスクを低減、バランスして最適化することが今後は必要となります。そのためには、時代の変化で増大する火災リスクに対応する新たな研究が必要であると考えられます。

さらに、火災研究のさらなる国際化も重要な課題と考えています。既に、国際火災安全科学シンポジウム(IAFSS)やアジア-オセアニア火災科学技術シンポジウム(AOSFST)が継続的に開催されてきましたが、4年後の2023年には第14回IAFSSを日本で開催することが決まっています。開催に向けた準備を進め、さらにその中で日本の火災コミュニティーの国際化も進められるよう努力したいと考えています。

以上、時代の変化への対応および国際化を考慮しながら火災科学・技術が進展するために、努力してゆく所存でありますので、よろしくご支援、ご鞭撻をお願い申し上げて、挨拶とさせていただきます。

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