日本火災学会会長 ごあいさつ

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平成29年度より日本火災学会会長に就任した長谷見会長よりのごあいさつです

会長就任にあたって
「今後の火災対策の課題に取り組むために」
                                                                     長谷見雄二

 昨年末、新潟県糸魚川市の中心市街地で、酒田大火(1976年)以来の強風下大火が発生し、更に2ヵ月を待たずに埼玉県三芳町の大規模物流倉庫で鎮火に2週間余を要する大火災が発生と、社会を揺るがす大きな火災が続きました。海外では、6月、ロンドンで24階建ての高層集合住宅が短時間でほぼ全焼し、確認された範囲で79人の犠牲者を出す衝撃的な火災が発生しました。いずれも、条件が大きくは違わない建物や市街地が数多く存在しており、更に大規模な災害が発生する可能性を窺わせる出来事です。その再発予防には広い視点での検討が必要ですが、その中で本会に期待される役割も小さくないに違いありません。
 このような状況の下、本会では去る5月、新しい任期の理事会が出発し、その会長に選任されました。
   昨年来の火災誌や5月に行われた総会で報告致しましたが、本会の財務は長い間、厳しい状況が続いており、過去2年間、大谷前会長の下で支出の徹底的な見直し・削減を行いました。それでも、学会本来の活動を今後、全うしていくことはできないとの判断から、総会では会費改定をお諮りし、会費を値上げさせて頂くこととなりました。今期は、支出削減の仕組みづくりや会費以外の収入の開拓など、財務の健全化に一層、努める所存です。
   一方で、本会は、今期2年間が終わる頃に創立から満69年、人間でいえば古稀を迎えます。本会では、過去、何度か運営の見直しがされてきましたが、火災安全への科学的取り組みの将来を展望すると、学会運営のあり方も、多くの面で見直しが必要になってきていると考えています。
 たとえば、冒頭の糸魚川や三芳町の火災など、地方に新しい火災リスクがあることが窺われますが、学会の諸活動の場は、首都圏に集中しており、地方の声がその中に反映される機会が少ないこと、会員の研鑽の成果の発表や顕彰が比較的基礎的な研究に偏っていて、火災安全の長期的な達成では等しく重要な役割を担っている技術開発・計画・社会活動等が評価を受ける場が十分ではないことなどです。いずれも、本会を始め、火災安全に関する科学技術・実践の将来の担い手を幅広く育てていく上で、取り組みが必要な課題です。
   こうした課題の一部については、前期理事会で具体的な検討がされましたが、今期は更に、具体的な方策への反映を加速したいと存じます。
 また、6月にスウェーデンで開催された第12回国際火災安全科学シンポジウムでは、2023年に予定されている第14回シンポジウムを、本会が中心となって筑波で開催することが決まりました。一昨年、筑波で開催された第10回アジア・オセアニア火災科学技術シンポジウムの成功も評価されての決定ですが、日本での開催は、第2回(1988年、東京)以来です。1985年に開かれた第1回は会場となった米国標準技術研究所の肝いりであり、火災安全の専門家が集まってシンポジウム全体を企画・運営するものとしては東京が初めてでした。その成功が、火災安全に関するその後の国際的な研究集会の発展の手がかりになったともいわれています。国際シンポジウムの開催は6年後ですが、世界から大勢の専門家が集まるこの機会を実り多いものとするために、周到な準備を進めていきたいと存じます。
 最後になりますが、会員の皆様の益々のご活躍を祈念し、皆様のご期待に応えられるよう、全力を尽くす所存です。

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